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いまだ平日モノ配り屋で休日にDJ/芝居/MTG&more

ただただ「ヒップホップ」「ラップ」が輝き続ける2016年のなか、もし4年後この年を思い出すなら、きっとこのアルバムを思い出す気がした。日本語ラップがトラップを受容する今の現状、社会性や流行とは一歩ひきつつも、深みあるトラックと的確な言葉。nonameでありながら雄弁。MC漢と5lackが同居するところ。ずっと毎日を生きてきた飼い猫のように、愛すべき、なんてことない傑作。

「海に囲まれ守られ　手にする音源　この国に生まれて良かったが本音　山にも親しみ　四季のいろどり　最高の居心地　最高のひと時　祖先がつくしてくれたか　負けても奪いつくせなかった宝　（…）　死は最後の祝日　日本史確かめる　まぎれもなく俺も日本人」
（「あまなりしき」）

ここに一切の無駄な言葉はない。ねえ、ナショナリズムって、こんなのではないですか？穏やかな日々から染み出るんもんじゃないんですか？憲法とか、日の丸とかじゃねえんじゃないですか？
俺も、よくよく働いて成果を出そう。それが一番大切なことなんだ。

そもそも、相対性理論は1stアルバムで
「私もうやめた　世界征服やめた」（「バーモント・キッス」）
という諦念を生きていたはずだ。

だが、今回は違う。

そもそもこの真っ黒な色味からして異常。ゆるふわではなく、明らかに驚いた表情。激しい感情。そして「NEW WORLD」という強烈な言葉。
「天地創造投げ出して　あれから世界は」
と開口一番、天地創造（世界征服と同義）ボイコットの、その次を描く。
この異様なテンションが、発売直後「は」全くの謎だった。

しかし、いま、2016年、やくしまるの言葉は、恐ろしいくらい的中し、妄想以下で、相当バカな事態がそこかしこで起こり、地獄の番犬も口を開ける世界になった。Avalanchesと、babyfatherのアルバムジャケットのように。変態するUSとUK。その中で、並のバトルMCでは逆立ちできない言葉をあの声でぶっ刺す。思えば2009年日本のアークティックモンキーズじゃーんと笑ってたあの「ハイファイ新書」から7年（まるまるバラク・オバマの就任時期）、もはやパフューム好きなマニックスのようなバンドサウンドが愚鈍に前進する。

「正気じゃない　ワックだわ　大マジならファンタジーだわ」
「瞳孔開いちゃって new world もう終わらせなくっちゃ」
(「FLASHBACK」)

そう吐き捨てる最終曲のリフレインの言葉はまるで…いや、やめとこう。そうであってはならないから。

Jersey clubは滅びなかった！！！

というより、2016年のブラックミュージックの熱狂にどうしてもついていきたいが、こう、どうしてもリリックとかがねえ…って気持ちになっていたら、そもそもニュージャージー州の人が躍るためになぜか高速化したスタイルである「Jersey club」はその簡単で雑にアッパーな手法が局地的にうけ、しかしどーん！とシーンがぶちあがるわけではなかったが…そしてフューチャーベースのように受けずに終わると思っていたが……国内でジャージーにこだわっていたK BoWのリミックス集は、一番俺がアッパーに盛り上がれた。D.R.A.Mが、リアーナが、ジャスティンビーバーが、世界のヒットソングが高速で襲い掛かるこのブチアゲ12曲が今年のダンスアルバムベスト！まだまだ踊るぞーーーー！！！

疑問がないわけではない。Circusで見たライブは微妙だったし、the xxのような圧倒的なカリスマ性もsyrup16gのようなイカれた魅力もないし、ceroやsuchmosのような売れ方もしない。より孤独をレペゼンしたほうがいいのか。でも、このレベルが国内ができることを誇ろう。何よりもこれはthe xxのごとき、傷つける外界を避ける国内産シェルター最新版。少し、フィッシュマンズのような魅力も見え隠れする。日本のロックの頼れる新型ルーキー。

知り合いのDJさんが好きと言ってから、いややばいでしょって言って金欠で買えず上半期ぎりぎりで購入。長いですが、まーーったりと浸れます。今年を象徴する1枚、ですかねー。

気味が悪い。なんだこのセンスは。

マセた小学校の頃の友達が持っていた、あの宇多田のアルバムが、
今年こんな順位なんて、と、去年の安室奈美恵のときも同じこと言ってました。
しかし、安室がPC MUSICでsophieなら、宇多田はフランクオーシャンとアノー二を招集する。この、スカスカのビート。ムード。そしてKOHH。
このクオリティを、日本でヒットさせた彼女には、頭を下げるよりほかにない。pop厚労賞。そういうことに何の躊躇もない。

テストアイシクル（ニューレイブ先達）発ライトスピードチャンピオン（アコースティック）経由ブラックミュージック行き。それがデブハインズ。
そしてすべての要素を彼は忘れてはない。リスペクト。

seiho / flumeに並ぶ未来盆栽ジャケット。それが2016年だった気がする。

呪縛

ブラックミュージックとはラップやダンスフィール、すべてがある。ラップだけじゃない、ダンスだけじゃない。こういうアルバムがすげーなあと素人目には思ったですね。