全てのウォールフラワー達の圧倒的な孤独を掬いとって音にしたような、悲しくも美しい音楽。浮遊感と沈み込む感じを併せ持ったような、ループ＆持続する上モノ＋控えめなリズムで80分という長さを感じさせないインナートリップミュージック。

21世紀のShuggie Otisがここに！トゲのないエレクトリックギターと丸っこいリズムボックスとスペイシーなシンセが海岸で焚き火を囲んで肩組んで歌い踊るような、幸福な光景が見えてくるような屈託のない音。

さながら往年のダンクラ様式美を追求し現代に受け継ぐ若（いのかどうかは知らんけど）き名工、といった印象の音作りがツボ。07年の前作、今年出たミックス盤も期待を裏切らない出来だった。

これは彼らなりのブルースなのか？と思ってしまうような超ユルユルのストレンジミュージックやまんまのダブから正統派ディスコリエディットまで、正気か狂気か判別がつかないやりたい放題の彼岸ミュージック。ある意味、ジャケット通りの内容。

冒頭を飾る「16th Stage」のイントロ、きらびやかなエレピの音だけでもう充分に名盤の貫禄。爽やか切な系の4つ打ち曲がとにかく沁みる。音といい適度なビートの重さといい、こういう音を求めていたんです僕は。昨年のうちに聴いていなかったことを本気で後悔した1枚。

sorcererの向こうを張るバレアリックギタリストが2001年の日本にすでに存在した！というのは見当違いかもしれませんが、例えば昨年か今年辺りに西海岸バレアリック勢に紛れてリリースされていたとしても不思議ではない、タイムレスかつリンクする内容であると思う。

まさかこんな肉感的な音を出す方向に行くとは思ってもみなかったここ数年のジミテナー。中でもメロウな多幸感と艶っぽいグルーヴが絡み合うこの作品が個人的には白眉だった。

開放的ではあるけれどどこか地に足の着いた感を残すSORCERER、HATCHBACK両者のソロに対して、コンビを組んだこの作品ではひたすらにスケールがでかくとことん広がりのある音像に。この音にどことなく80年代のスタジアムロックの匂いを感じるのは世代的な何かのせいでしょうね多分。

冒頭2曲が特にど真ん中ストライクだった静謐系テクノの14年前の名盤。ドラムマシンの軽さ、リズムボックスの併用、間を上手く使ったフレージングが逆にタイムレスな印象になったのかな、と。浮遊感溢れる上モノの音使いも素晴らしい。

同じ西海岸バレアリック系でもこちらはかなりメランコリックな印象。ディレイの効いた上モノ、軽めのビートが織り成す気持ち良さは変わらないが、こうまで印象が変わるものなのかと。突き抜けるような爽快感は少ないものの、曇天模様の空に薄日が射すようなほの明るい音像もこれはこれで魅力的。